3Dプリンター の種類 (熱溶解積層、光造形、粉末焼結、インクジェット、プロジェクション、インクジェット粉末積層)

3Dプリンターは積層して物を造ります。そのため積層造形装置とも呼ばれています。 積層するイメージとしてソフトクリームを作る時を思い浮かべると良いでしょう。ノズルから出てきたホイップクリームを幾層にも積層する事でソフトクリーム(造形物)は造られます。 積層して物を造り上げる原理はどの3Dプリンターでも同じですが、積層方式により大きく熱溶解積層方式、光造形方式、粉末焼結方式、インクジェット方式、プロジェクション方式、インクジェット粉末積層方式(※1)に分類する事が出来ます。 ※1・・・他にも造形方式はありますが、解かりやすく現在市場に出回っている3Dプリンターを大きく分類分けしています。 【 熱溶解積層方式 FDM法(Fused Deposition Modeling) 】 熱溶解積層法は、熱に溶ける樹脂を1層ずつ積み上げていく方式です。2009年にFDM法の特許期限が切れたことにより、FDM法の3Dプリンターに価格破壊が起こりました。 その結果、数年前には数百万円した3Dプリンターが現在では10万円前後で購入できるようになっています。現在低価格で購入できる3Dプリンターは熱溶解積層法が主流になっています。 Replicator2 Blade-1   ●原理 ABS樹脂やPLA樹脂のような、熱を加えると変形しやすくなる熱可塑性樹脂を用いる方式です。熱可塑性樹脂を高温で溶かし、成形テーブルで積層させます。ソフトクリームのクリームをノズルから出力する要領で溶解ヘッドから樹脂を出力させます。それを幾層にも積み重ねることで立体形状を造ります。 3Dプリンターで成形している時 成形テーブル上に溶解ヘッドから出てきたABS樹脂を積層している様子です   ●特徴 精度や表面仕上がりが比較的粗い 狭いスーペースに設置可能 個人でも購入可能な値段(7万~)となっている サポートが必要 カラフルなものから材料を選べる   主な素材 ABS、PLA樹脂 メーカー Blade-1     (日本 ホットプロシード) Scoovo      (日本 オープンキューブ) Replicator2   (米国 Makerbot) CubeX      (米国 3D Systems) Mojo 3D Printer (米国 ストラタシス社) 【 光造形方式 STL法(Stereo lithography) 】 光造形方式は、3Dプリンターの中でもっとも歴史の古い方式です。 日本人によって発明された技術で、1987年に3Dシステムズ社が実用化しました。 紫外線を照射すると硬化する液体樹脂(光硬化性樹脂)を用いた造形方式です。光硬化性樹脂を満たした槽に紫外線レーザーを照射させ層を造ります。1層造ると造形ステージを1層分下げ、それを幾層も積み上げることで造形を行います。 NRM-6000 iPro9000 XL   ●原理 光造形方式は下図の流れで造形を行います。 ①紫外線レーザーを当てると硬化する液体樹脂(光硬化性樹脂)の中に造形物を乗せる造形ステージがあります。液体樹脂の表面に紫外線レーザーを照射することで、樹脂を硬化させステージ上に第1層目を造ります。 ②1層造ると造形ステージも1層分下がります。①と同じ要領で2層目以降を作ります。 ③②の作業をスライスした分が終わるまで繰り返し、造形物を完成させます。 この方式は液体内に硬化した造形物が造られていくため、造形物を支える「サポート」が必要になります。造形終了後はサポート除去作業が必要になります。   ●特徴 高額な物が多い。多くは数百万~数千万円する。 日本の製造業で一番普及している 精度が良く複雑で細かい物が造れる サポートが必要 レーザーパワーを変えて、積層ピッチを調節する   主な素材 エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂 メーカー SLAシリーズ (米国 3DSystems社) RMシリーズ、NRMシリーズ (日本 CMET社)   ●動画 Perfumeさんを3Dプリンター(光造形機)で印刷してみた 光造形 試作工房『モデルポート』加工法紹介 【 粉末焼結方式 SLS法(Selective Laser Sintering) 】   粉末焼結積層造形は、粉末状の材料に高出力のレーザー光線をあて焼結させる造形方式です。 主な材料としてナイロンなどの樹脂系材料や銅・青銅・チタン・ニッケルなどの金属系の材料が使用できます。 耐久性があるためデザイン試作品だけでなく、利用可能な試作モデル(機能モデル)としてもおり、大量生産する前段階のテスト時に活躍しています。 ラファエル550 SLSシリーズ   ●原理 粉末焼結方式は光造形法と似たような方式で、ステージ上にある粉末をレーザー光線を照射させて焼結させます。粉末が硬化したらステージを下げます。この作業をスライスした分繰り返し造形を行います。   ●特徴 耐久性のある造形物を作れる 様々な材料を利用可能 硬化後に造形物は沈まないのでサポート部は不要 滑らかでつるつるした質感を求められるものには向かない   主な素材 ナイロン樹脂、セラミック、エストラマー、ポリプロピレン、金属 メーカー SLSシリーズ  (米国 3DSystems社) RaFael550   (日本 アスペクト社) EOSIntシリーズ(EOS社)   ●動画 樹脂(プラスチック)成形のみづほ合成工業所 【 インクジェット方式 Inkjet法(Inkjet) 】 インクジェット方式は、液状の紫外線硬化樹脂を噴射して、それを紫外線を照らすことにより硬化させ積層させる方法です。紙を印刷するインクジェットプリンターの原理を応用した造形方法です。 Objet500 Connex AGILISTA-3100 ●原理 インクジェット方式は、上図のように液状化した樹脂をインクジェットプリンタのように吹き付け、紫外線をあてることで硬化させます。それを幾層にも積層させることで造形します。 ●特徴 高速にモデルを作ることが可能 高精度な物が造形可能 サポート部は作られるが容易に除去可能 造形物が滑らかな表面に仕上がる … Continue reading 3Dプリンター の種類 (熱溶解積層、光造形、粉末焼結、インクジェット、プロジェクション、インクジェット粉末積層)