2013年は、「3Dプリンタブームの年」? それとも「3Dプリンタ元年」?
数年後、僕らは2013年の3Dプリンタブームについて何と言ってるだろうか?
まずは簡単に「3Dプリンタブーム」について説明。
2013年は、間違いなく3Dプリンタブームだった。米国オバマ大統領が2013年2月の一般教
書演説で「3Dプリンタがアメリカの製造業を変える」と宣言したかと思うと、TVのゴールデ
ンタイムにビートたけしが「3Dプリンターだってよ」と語るCMが流れるぐらいだ。
流行語大賞にはならなかったものの、TV、新聞、ネットなどのメディアは、こぞって3Dプリ
ンタを取り上げたおかげで一般人にも広く認知されるようになった。ビックカメラやヤマダ機
などの大手家電量販店に足を運べば、3Dプリンタの実機を見れるようになったし、体験コー
ナーまで設置している熱狂ぶり。大手IT企業もまけていない。オンラインショッピングの覇
者であるAmazonは3Dプリンタストアをオープンする程の力の入れようだし、Microsoftも
3DBuilderとよばれる3Dプリンタ用データ作成ソフトをWindows8.1から標準搭載している。
そのような現象が僕らの周りに起こった事を考えると、2013年は間違いなく3Dプリンタブー
ムと言ってよいだろう。
では「3Dプリンタ元年」についてはどうだろうか?
これは今後の3Dプリンタの活躍にかかっている。2014年以降、3Dプリンタの人気が無くなり、
どのメディアも話題にしなくなったとする。そうなると、巨大掲示板2CHなどに「3Dプリン
タって昔あったよね。たしか2013年ぐらいにブームだったね」等と書き込みがされるだろう。
3Dプリンタのこれからの普及、活躍により、単なる一過性の「ブーム」で終わるのか、ブー
ムが始まった初めの年である「元年」だったと言われるかの分かれ道になってくる。
私は3Dプリンタの可能性に強い期待を持っており、次のように推測する。今後の3Dプリ
ンタブームは多少の落ち着きとともに2014年以降も根強くメディアで報道される。例えば、
「横浜市立大学病院 3Dプリンタを用いて臓器出力に成功!」、「米国がNASA作の3Dフード
プリンタを食糧難な国へ1000台支給」などといつの日か話題に上るだろう。
それに2014年には、3Dプリンタの主な造形方式の一つであるレーザー焼結法の特許が切れる。
現在、家庭用3Dプリンタで用いられている方式である熱溶解積層方式は、特許切れ以降に
値段が急速に下がり廉価版が普及した。みなさんご存じのとおり特許切れと技術の発展、価格
の低下は大きな関係がある。それと同じようにレーザー焼結法の廉価版3Dプリンタもダウン
サイジングが起き、価格は安くなっていくだろう。(レーザー部が高いので10万円は切れない
と思うが)
これにより再度人気が過熱するもしれない。より精度の高い強度を持った物、最終製品を
個人でも造れるようになれば、やる気とアイディアと多少のスキルを持った個人が新製品、新
ビジネスを立ち上げるだろう。そうなるとメディアはそれを取り上げだし、3Dプリンタが家
庭に広まるトリガーになるだろう。
この世に初めてTVが登場した時、それは画面サイズが5インチで、白黒で画像は見ずらいも
のだった。その最初のテレビセットが世界博覧会で披露され、それを見た来場者のほとんどは、
車と同じ値段もするこんな変な箱が今後普及するはずはない、きっと一過性のブームで終わる
だろうと簡単に片づけてしまった。彼らは大事なチャンスを見過ごしてしまったのだ。パソコ
ンやインターネットも同じ事が言える。このアイテムは情報化産業の後押しした。
インターネットという大きな波に乗れたのは、初期よりチャンスに気付いた一部の人た
ちだった。この時代の転換期にいた僕らは、まさかこの短期間に、Google、Facebook、Yahoo
のような巨大な企業がこんなにも登場するとはほとんどが想像できなかっただろう。
どんな革命であれ、初めより参加している人たちは、大きなチャンスを手にする可能性がある。
また、もし革命が起きなかったとしても、ワクワクする体験、時間を過ごすことが出来るのだ。
そんなタイミングに、僕らは現在いる。数年先にはパソコン、TVのように当たり前に3D
プリンタがリビングにある時代が来るだろう。そして僕らの生活に密着したものになった時、
きっとこう言うのだろう。「2013年がこの機械の始まりの年、3Dプリンタ元年だったね」と。
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